MQA-CDの最近

 継続的にMQA-CDを出していたユニバーサルミュージックだが、11月発売のロックアナログ時代のベスト盤は紙ジャケットになるらしい。最初の頃のプラスチックケースの他にビニールカバーが付く仕様は豪華すぎたが、とうとう外装にもあまりお金をかけられなくなったかなと思えてきた。売れてないのかな。例えばアメリカ盤のドアーズのMQA-CDなどは紙ジャケだった。


ちょっと前にナナ・ムスクーリとエンゲルベルト・フンパーディンクのMQA-CDを買ったけど、こういった歌手を聞きたい層は若くても50歳台だろう。普通のCDとして買うには3080円は高いと思うし、フルデコードするためにPCを使うのは難しい人が多そうだ。

PCを使わずにフルデコードする機械はまだまだ高い。特に多くの人が使えそうなCD(マルチディスク)プレイヤーの形になったものはどこも力を入れているモデルだけあって非常に高価だ。聴いてみないと良さがわからない特殊なCDの為に30万円超のお金を出せる人は非常に限られるだろう。

一方PCやミュージックサーバーを使うやり方はかなりハードウェアの数も多く、割と安価にフルデコードしたMQA-CDを聴ける環境を作ることもできる。ただし直接CDドライブから音を聴くのではなくCDをリッピングしてできたflacのファイルを聴く事になる。

MQA-CDをリッピングしたファイルをflacにできればそれをMQAとして認識させるためのソフトウェアはMQAが公開している。だがどんなハードを使ってどんなソフトウェアでリッピングすれば良いのかはわからない。MQA公認のものはない。

以前MQAにメールで問い合わせた時にソフトウェア、ハードウェア共「ビットパーフェクトを実現できるもの」を使ってほしいとは言われたが、CDドライブでビットパーフェクトを実現できそうなものというのは限られると思う。PC用としてはパイオニアの高級機一択になると思う。だがそんなドライブはBTOでもないかぎり普通のPCには組み込まれてはいない。

MQA-CD用のハードウェアの普及状況とマーケティングがうまくかみ合ってない感じはある。 

さらにPCで聴くためにはフルデコーダーを使う他にコアデコーダー(ソフトウェア)とレンダラー(対応DAC)を使う方法もある。レンダラーは最近安いものがたくさん出てきたが、コアデコーダーは安くならないしRoon等は実際高価だ。日本で手に入りやすいのはAudirvanaだと思うがそれでも私が買った時は1万円弱だったかと思うが、今は1万円と少しするらしい。

こういった複雑さもMQAやMQA-CDの普及を妨げている大きな要因だが簡単に解決はできそうにないのでMQA-CDは先細りかとちょっと暗鬱な気分だ。

だんだんと日本もサブスクリプションの割合が増えてCD等の物理メディアが売れなくなり、アメリカみたいに物理メディアの売り上げが音楽全体の10%を切るような状況になったらMQA-CDが良いメディアでも買う客がいなくなる。

自分でMQA-CDからリッピングしたファイルをPCやDAP(iBasso DX160)で聴いて強烈なジャズのドラムの音や良い録音(チェスキー等)の再現性は明らかにMQAが優れていると思う。方式以前にマスタリングが力を入れて行われているせいかもしれないが。

聴いてみてAmazon MusicHD や mora qualitasのハイレゾサブスクリプションの音はダウンロード販売のハイレゾファイル やMQA-CD のリッピングファイルには及ばないと思うが、そのあたりもきちんと評価しようという人もいないようだし、うやむやのうちにサブスクリプション一色になってしまうのかもしれない。なにせかかるお金が全然違う。

時代の流れと言えばその通りだし、サブスクリプションのコスパの良さと利便性を否定する気は無いがどうも面白くないよ。質が量に負けるみたいで面白くない。

コメント

このブログの人気の投稿

昔 光悦(カートリッジ)を作っていた菅野氏を訪ねた時の事

個人のブログ用に試聴機借りるの?

ケーブルと情報量