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10月, 2020の投稿を表示しています

iPodの功罪

 今更ながらiPodについて振り返ってみる。私はHDD搭載のiPod には全く興味が無かったので固体メモリ搭載のiPod nanoから使い始めた。1世代と3世代目を買ったが「ようやくwaveで音楽が入れられる」という期待は、買ってから数か月後にはっきり気づいたが見事に裏切られた。 望んでいたのはCDの音質に飽き足らないアナログの耳で満足できる音楽が聴けることだったが、外に持ちだしてもそんな音は聴けなかった。  当時スティーブ・ジョブズはとてもうまくiPodを作ったと思う。他のメーカーができないくらい低価格で大容量のメモリを使ったiPodを作った。競争できるような差ではなかったのでMP3プレーヤーの類もたくさん姿を消した。アップルはとてもうまい商売をやったけど、何一つ音質の向上はもたらさなかった。それどころか競業他社をぶっ潰すことで技術的な後退をもたらしたと思う。 反面iPodの持たない高音質化に舵を取ってiriverがAstell&Kernを作ったように良い動きもあった。大分後の事だ。 その携帯プレーヤーの高音質化は近年になって実現され始めたと思う。聞いた途端に「残念」と思うような音質ではなくなったのだ。主にデジタルフィルターの進歩か、DACの進歩か定かではないが。

個人のブログ用に試聴機借りるの?

 以前ポータブルオーディオのイベントで輸入業者の人に多分個人のブログにレビューを上げるために試聴機を借りる交渉をしていた人がいた。言葉は悪いが乞食か?と思った。しかも多くの来訪者が詰めかけるイベントでそれをやるのはおかしいだろうと思った。 そんなブログとかレビューに何の価値があるんだろう。一体何人が見に行くところか知らないがそんな負い目があるようなレビューでまともな評価なんかできるわけないだろう。メーカーなり輸入業者が「どうぞレビューして下さい」と試聴機を持って行くなら別だろうが。 そんな権威のある批評家がいるだろうか。結構昔のThe Absolute Soundのレビューのように借り物でも3週間以上、暮らすように評価するなら、そしてその評価に対して同格以上の批評家が別の角度から意見するならある程度の妥当性も確保できるだろう。1週間程度借りて自分の手持ちのものを使って分かる事など知れたものだろう。 少なくとも3か月から6か月くらい身銭を切って購入した人の言葉でないと信じるには値しないと思う。舞い上がった頭が冷静になってある程度経時変化が出て来るのは本当は6か月必要だと思う。 ウェブマガジンに試聴機が回って簡単なレビューが載るのは分かる。規格と何ができて何ができないかについて不完全でも速い情報を載せるのは意味があるだろう。時々「自腹で購入しました」とか書いているのは何の意味もない。普通の人間はそうやって買っているんだし何か新しい事が分かるはずもない。そう書くのは数ヶ月使い込んでからだろう。 すぐ手に入れたい人間はある程度情報を仕入れたら自分で聴きに行って買うかどうか判断すればいい。 本気でポータブルオーディオの機器をレビューする気なら少なくともポータブルから入っただけでは不十分だと思う。基礎となるアナログオーディオの知識とデジタル関連の知識の両方が無いと正しい判断ができないと思う。

IBasso DX160をクリーニングしてみた

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大失敗しました。microSD挿入口のDAP側の接点を清掃しようと思ってパーツクリーナーを挿入口に吹きかました。音が出なくなったりはしませんがスクリーンの裏?の一部にアルコールが残存したらしくてひどい模様が画面に出ました。何かアルバムアートが浮き出て見えて面白い感じもしましたが、このままだと困る状態です。 約2日ほど放置したら消えてくれました。今後はせいぜい綿棒に無水アルコールを付けて拭く程度にします。 この件ではメーカーはmicroSDスロットのメンテナンスを全く考えてないと思いました。空気に触れている接点は据え置きオーディオの経験だと3~6か月くらいでメンテナンスが必要になります。DAPが例外というのはないだろうに。 今回3.5mmと4.4mmのイヤホンジャックを綿棒と無水アルコールで拭いてみました。我ながら怠慢だったが買ってからさほど掃除してなかったので6か月くらいは使っただろうか? 清掃してみて結構違いが大きいのに驚きました。細かい音がよく聴こえて音場も見通しがよくなる。 iBasso DX160を使っていて半年くらいイヤホンジャックの掃除をしていないという人がいたら細い綿棒と無水アルコールで拭いてみる事をお勧めします。細い綿棒はドラッグストアには無いがアマゾンから簡単に買えます。低コストで音が改善するのは大歓迎です。  アナログ部分については据え置きオーディオと何ら変わらないのだからその原則を忘れたらいかんと思いました。そういうノウハウはポータブルオーディオの店はあまり教えないし、外見を磨くキットは出してもあまり音のメンテナンスには熱心でないからね。 アルコールでの清掃以外に世間には「接点復活剤」と呼ばれているものがあります。スプレーに入って割と安価に売られているものです。どちらかというと電子工作やPC用として出ているもので、使ってみたところでは確かに接点の導通が復活するが、そんなに効果が長持ちしないものが多かったと思います。 オーディオ用の接点復活剤は色んなものが市場を流れて行った。深海鮫の油「スクワラン」もあれば、色んなものがありました。今市場に長期残っているものはCAIGのDeoxitだと思います。赤い普通用途と黄色い金メッキ接点用があります。 一時期手に入りにくくなっていたが、アマゾンで入手できます。他にアマゾンを見るとスプレー式のものもあ...

DAPに使うmicroSDが嫌いな理由

 ここ3,4年で複数のDAPを使ってきたが、いずれのDAPでもmicroSDはできるだけ使わなかった。理由はmicroSDの音源を聴いているとふっと気づくと音場が非常に狭くなって「息苦しい」という感覚にとらわれるからだ。また音楽があまり耳に入らないというか、聴いていても感動がほとんどない事もあった。 DAPを換える度に試してみたが高級なDAPだから大丈夫という事では無かった。40万円近いDAPでもやはりmicroSDの音は好きになれなかった。唯一例外はKANNに使ったフルサイズのSDカードだ。あれはそういったマイナスなイメージが無かった。しかしKANN自体の音質が粗くて好きになれなかったためあまりそれを使う事もなかった。 長く本体メモリだけで聴いていたのだが、それを止める転機がCayin N8でOTGでSSDを使ってみた事だった。サイズが小さいM2規格のSSDを最初にSATA接続のものを、次にNVMe接続のSSDをポータブルケースに入れて接続してみた。N8ではバッテリーの消費から聴ける時間は短くなる ものの、どちらも使う事ができた。 使ってみるとOTGSSDの音は音場が広く、音の拡散がよく聞き取れてmicroSDのように音場が狭くなる事が無かった。以来Cayin N8で、最近はiBassoDX160でSSDで聴いてきた。今後もmicroSDの音が改善する事があればいいが、そうでなければSSDを使いたい。 microSDの音の原因については考えて見た末アンダンテ・ラルゴのTMDを使って少し改善を見たが、やはり解決とは言い難い。 なぜ広がりがあって音場が広い音でないと好きになれないのかは、多分据え置きオーディオで長い間そういった音を聴いてきたのが理由だろうかと思う。 80,90年代から「国産アンプの音はたいがい2D、良質の海外産アンプの音は3Dで鳴る」と言ってより奥行きのある機械を集めた。コンデンサースピーカー、エレクトロカンパニエットのアンプ、オラクルのレコードプレイヤー、光悦のカートリッジ そういったもので広がる音場を曲がりなりにも聴いてきたせいだろう。