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昔 光悦(カートリッジ)を作っていた菅野氏を訪ねた時の事

 今からもう30年以上も前のことになる 光悦 というカートリッジを作っていた菅野さんのお宅を訪れた。 当時有名だった光悦というカートリッジの情報を得たくて武蔵野音響研究所の電話番号に電話した。自分が松戸に住んでいる事を伝えると「近いじゃないですか。(聞きに)いらっしゃい。」と誘っていただいた。当時奥様を亡くされて人恋しいという事もあったのか。 千葉ニュータウン中央駅までシトロエンBXで迎えに来てくださった。  氏のご自宅のアトリエで 装置の組み合わせは スピーカーはパイオニアのバーチカルツインだと思った。ネットワークはいじっておられたのかも知れない。 アンプは真空管式 詳しい製品名はわからなかった。 アナログプレイヤー ターンテーブルはガラード401かトーレンスTD124のどちらかではなかったかと思う。アームは当時光悦の名前で出ていたものだったと思う(フィディリティリサーチ改?)。 この当時(1990年代)は日本ではオーディオとは言ってもまだ低音がどうの高音がどうのといっているレベルの話が多かった。 だが菅野さんのシステムからははっきり立体感 左右、奥行きが感じられる三次元の音場が聞こえた。そこでこの人は本当に耳がいいんだなと思った。 さらに当時は銀線を使った「ポエム」を持て囃す記事が雑誌に載ったりしていたが ご本人は「『ブラック』の方が輪郭がはっきりしていて良い。」と言っておられた。 そこも菅野氏の耳が良いと思った点だった。 光悦のグレードの異なるカートリッジ ポエム、ブラック、ウッド、オニキス等を聞かせていただいたが、グレードが上がるとはっきり音質が向上するのがわかった。 当時のThe Absolute Sound で光悦のカートリッジは高く評価されていたが 聞いた印象はそれを裏付けるものだった。当時ハイエンドのカートリッジの評価で重視されていた三次元的な音の広がり 特に音場の奥行がはっきり出る。そして出る音が生き生きしている。 数時間に渡って音楽を聞かせていただいて 光悦の音質の良さが よく分かった。 特性を取るのに使うテスト用レコードを通常より短い周期で取り敢えているという事もアピールされていた。 当時は日本のオーディオ雑誌の執筆者も三次元の音場展開に注目していたのは1~2名だけで ほとんど顧みられていなかったので 光悦 の製作者である菅野...

iBasso CB19

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  本来iBassoのDC-EliteなどのドングルDACをモバイルバッテリー給電にしてスマホのバッテリー消費を抑えるアクセサリだ。  が 結果的にうまくいったので 自分にとってはかなり待望のケーブル製品だったと言える。本体の用途ではなく DAPに接続する外付けSSDの電源供給用に使ったのだ。  SSDケースにはモバイルバッテリーから給電してDAPにはSSDから信号だけが行くようにする。  DAPは従来のiBasso DX160。以前からDX160から外付けSSDに電源を供給して聞いていたが、モバイルバッテリーから電源供給するようになって音質も大きく変わった。  さらにDX160からの給電ではおそらく電流が足りなくて動作しなかったNVMeタイプのSSDも動作するようになった。最近のM2SSDは消費電力が少ないのであまりえり好みせずに使えそうだ。  DX160から電源を取らなくなったので DX160自体の音楽を聞ける時間は従来より長くなった。おおざっぱに1.5倍くらい。  一番大事なのは音の質が上がったという事だ。まだSATAやらNVMeやらOptane Memoryやら手持ちのSSDを試している最中なので何がどうと結論めいた事は言えないが 従来より音楽を聞くのが楽しくなった。無論ポータブルでよくある 変わったを向上したと勘違いする ではないと断言できないのでもっと色々聞いていく必要がある。  AUDEZE LCDi4が従来より良い感じで鳴っている。

ブラインドテスト

 ポータブルの事ばっかり書いてたら飽きてきた。もともと据え置きオーディオが長い人間なので。  今はもうほとんど見ないが、以前...80年代あたりだろうか?オーディオ機器を比較する方法にブラインドテストというのがあった。多人数を集めて機器を見えないようにブラインドの陰に置いて音の比較をするというものだ。主催者が明らかな音質差がある と思って企画した場合でも必ずしも意図した結果が出て来ない事が多かったようだ。それは当たり前だと思う。  多分前提として「人間は聴覚の機能に不都合が生じていない限り、常に音を聞いている」という考えがあると思う。それだから同じように聞こえるはずだと。 おそらくそこが大間違いで、人間が音を聞くのは周囲の状況を把握して危険から身を守る本能に由来しているのだろうと思う。音楽を聞いている訳ではないのだ。 おまけに集められた人たちの過去の音楽体験 どんな音楽が好きでどんな装置で聞いてきたかもバラバラならば、バラバラの印象を持って当たり前だ。 さらに集められた時の各人のモチベーションにも違いがあるだろう。いやいや付き合っている人もいるだろうし 聞く気満々の人もいるだろう。それも音の印象に大きく関わると思う。  この時代にそんなものを企画する所はほぼないだろうが、もし行われたとしたら むしろ主催者が音質比較とは別の意図を持っている場合だろう。

スマホを使い始めた

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 長いことスマホを遠ざけてきたが、ここ1~2年公共機関の受け付ける申し込みとかインターネット接続の手続きまでスマホが必須になってきたので使い始めた。  今まで使わなかった理由は簡単だ。電車や街中でスマホを見続けている人間を見るのもいやだし、自分がそういう有様になるのはもっといやだからだ。 使い始めてスマホに依存するように仕組みが出来上がっている事、依存する人間が出てもこれは仕方ないと納得できた。 今はもう良し悪しを問う以前に生活に必須になってしまったスマホだが、この技術についての評価をするようなところはないのだろうか。 このご時世 持続可能性とかもう陳腐化しながらもあちこちでよく言われる言葉だが、スマホという技術は未来の人類が使うべき資源を食いつぶす最たるものだと思う。持続的ではないものの代表だろうと思っている。 端末だけの話ではない。夥しい数作られ、街中によく見るアンテナの付いた携帯無線基地局。あれを建設、維持するのにどれだけの資金と資源が使われているのだろう?あれが無ければ携帯、スマホはつながらないし、高速にできないという事だ。 もちろん無線のままつなぐわけではない。基地局でひろった携帯やスマホの電波はすぐ有線のネットワークを通じて接続される。有線に落とすまでのつなぎにあれだけ多くの基地局を必要とするのだ。 初期携帯電話の料金が高かったことも納得できるというものだが、そこまで投資してつなぐべき価値が携帯やスマホにあるのだろうか?    電話をつなげるという事の意味は一応わかる。だがインターネット接続や最近は動画視聴までスマホでやる意味があるのか?一応見たことにはなるのだろうが、大きな画面で見た時とは印象が違う。質が違うのだ。 地図データを見ながら歩くというのは一応わかる。だが事前にインターネットを使って調べてプリントアウトなり画像データに落として持ち歩くので事足りそうにも思える。必要ないデータ転送量を垂れ流している感は否めない。

OricoのM2SSDケースを2個買いました。

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 iBasso DX160用に使っていたM2SSDケースが壊れたので、安かろう悪かろうではないSATAのM2SSDケースが欲しくなり、Oricoの物を買いました。すでにOricoのケースはNVMe用を2個使っていて、トラブルも無く使えていたのでSATAもそれにしようと思いました。片方はNVMeとSATA両用(右)、もう片方(左)はSATA専用です。    最初両用のケース(右)を買いました。これはケース全体が金属で熱の放散が良さそうでケーブルもUSB-A→USB-CとUSB-C→USB-Cと2本が入っていました。音もよかったのですが製品の欠点ではなく、私の用途に合わない点がただ一つありました。中の変換チップ消費電力です。そんな数値商品説明にも載っていないし、確か編めようが無いのですが、実際使ってみるとすごい勢いでDX160のバッテリーが減っていきます。 値段はそれより安いのですが、SATA専用のケース(左)をもう1個買うことにしました。多少消費電力が少なることを期待して。 値段が半分以下のせいもあり、最初に買ったモデルとは違いがあります。ヒートシンクがちゃんと金属ですが、それ以外の部分はプラスチックだったり、USB-C→USB-Cのケーブルがこちらにはついていなかったりしました。しかし基本的な部分は手抜きせずに作られている印象です。 実際使ってみると最初のケースに比べて確かに長い時間聞くことができます。 DAPにM2用外付けSSDケースに入ったSSDをつなげた場合、ケースの変換チップの消費電力にSSD本体の消費電力が加わるだろうと思うのですが、実際つなげてみないとわからないものです。

松戸のパン屋さん Zopf

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 松戸に住んでもう数十年になるが、未だにZopfという店をとらえ切れていない気がする。東京駅のエキナカにZopfというパン屋さんがある。確かにこの松戸のZopfの名前ではあるが、本来のZopfはカレーパン屋さんではない。   食パン、グラハム食パン、フランスパン、ライ麦パンなど基本の食事パンから各種調理パン、サンドイッチ、ペストリー、あんぱん等の甘いパンまで何でも揃う。一度に全てのパンが店に出ているわけではないが、すごい数のパンが狭い店内に所狭しと並び職人さん、店員さんが忙しく立ち働いている。 http://zopf.jp/ 初見の客は店に入ってもこの店の商品を把握しきれない。2,3度行っても同じである。カレーパンだけ買っていく客はよほどカレーパンを愛しているか、断片的な情報を持ってとりあえずこの店に来た客だろう。カレーパンも旨いが、本当に買うべきはそれではない。 この店のパンを見ると必ずしもフランスやドイツのもとになったパンそのままというわけではないと思う。アレンジされているとは思うがおいしく、ライ麦パンもクセがない。以前は店内に石臼が展示されていて動いていたかと思うが、最近は見ない。 ゆっくり高温にならないように挽いているのかと思った記憶がある。 調理パンもかつサンド(分厚いとんかつと新鮮なキャベツが挟んである)といった一般的なものもあれば季節物の牡蠣のキッシュまで色々な種類がある。 全体に値段は普通のパン屋さんより高めだが、多分良い食材を使っていると思うし、たっぷりした量がありけちけちした使い方をしない。カレンツのパンもカレンツたっぷりだ。本来この店で買うべきはこの調理パンだと思う。 甘いペストリーも見た目からしておいしそうだ。お菓子屋さんのものとは違うが、これはこれでおいしい。  お会計でレジに行くと、たいてい見落としているレジの左下にある冷蔵ボックスに気づく。パンに塗ったり挟むための色んなフィキシングを売っている。レバーペーストや豚のリエットもあれば、黒糖ラムバターやブルーベリークリームチーズもある。食パンとこのフィクシング数種を買って行ってサンドイッチを作っても面白そうだ。 ここ数年は食パンに特化したパン店が増えていたが、Zopfはそれと真逆に全方位の商品を作り成功している稀な例だと思う。決してどこかの食品を企画する会社や人物...

アナログとデジタルの音の違い

 アナログとデジタルの音の違いを例えるのに、著名なスピーカーエンジニア故デビッド・ウィルソン氏が語ったという話を思い出します。 ホームパティを開いた時にCDの音を流している時には来客は楽しく会話と楽しんでいるのですが、アナログソースをかけると会話を止めて音に聞き入るというのです。 ウィルソン氏の会社ウィルソンオーディオが製造するスピーカーは高価ではありますが素晴らしい音のリアリティを持っています。 この例え話が意味するところは 音楽がスピーカーから流れていてもその音楽が多少なりとも違和感があるものだったなら単なるBGMとして聞き流せます。無視もできるでしょう。 しかし 本当にそこで音楽が演奏されているような音を聞いたら人は無視できないでしょう。素晴らしい演奏ならば会話を止めて音に聞き入るでしょう。 そういう事だと思います。 インターナショナルオーディオショウでは様々な高級機器の音を聞くことができますが、デジタル機器で質の良いアナログ機器並みに違和感の無い音を聞いたのは今回のSOULNOTEの試聴会が初めてでした。  CD初期に音に大きな違和感を感じ、また現在でも多少なりと違和感を感じながら音楽を聴いているという方はぜひSOULNOTEのフルシステムを聞いてみる事をおすすめします。